インスリン(膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で生成・分泌され血糖値を下げる唯一のホルモン)が適切に供給され、組織のインスリン必要度のバランスがとれ血糖を含む代謝が正常に保たれることです。
インスリンの分泌不足、またはインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)の増大のことです。このような状態があると血糖値は増大します。
インスリン作用不足があることで持続する高血糖により、特徴的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感)を自覚する方が時おりいらっしゃいますが、それ以外の自覚症状がでにくい状態です。
このような状態の時は、ストレス下でのインスリン拮抗ホルモンの上昇によるバランスの崩れもありますが、絶対的、相対的なインスリン作用不足になることがあります。
糖尿病3大合併症といわれる神経障害、網膜症、腎症などを引き起こします。また、大血管症といわれる動脈硬化性疾患(脳梗塞などを始めとする脳血管疾患、心筋梗塞を代表する虚血性心疾患、足の壊疽も起こしうる閉塞性動脈硬化症)を併発することもあります。
この2つの病態があります。妊娠糖尿病の診断基準は厳しくなり以下のようになりました。
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)において次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
以下のいずれかを満たした場合に診断する(いずれの場合も空腹時血糖かHbA1cで確認)。
確実な糖尿病網膜症が存在する場合
随時血糖値200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値200mg/dlの時
妊娠糖尿病の診断が厳しくなった理由には目的があります。その目的とは、胎児の過剰発育、周産期異常を減らし安全な妊娠の継続、安全な分娩を行うことです。また妊娠糖尿病と診断されると、今後糖尿病を発症するリスクが高まりますので、糖尿病発症予防をかねて定期的な経過観察が大切です。当クリニックにも、出産後1型糖尿病の診断に至った方、産後に境界型糖尿病の診断をされた方、出産後の耐糖能は全く正常で経過観察中の方などがいらっしゃいます。やはり、育児で忙しい時期は検診を受ける機会を逃しやすく、中高年で糖尿病を悪化させてから加療になる方が以前は多く見受けられました。しかし、最近では産婦人科の先生の協力や患者様自身の前向きな気持ちにより、定期的な経過観察ができるようになってきております。